数日前に「Forbes」に出ていた記事ですが、タイトルは「海にゴミを捨てまくる豪華クルーズ船企業の呆れた実態」。
記事によると、世界最大のクルーズ客船運営会社カーニバルコーポレーションが、バハマ海に大量のゴミを不法投棄していたとの事。
会社側もそれを認め罰金の支払いにも応じた。しかしその額が同社年間売上高の0.1%と少額で、しかも前年には石油の不法投棄と隠蔽で有罪判決を受けていたとの事。
もともとカーニバル自体、他社の弱みにつけ込み買収を繰り返す事で巨大化した企業。いかにもやりそうではあるのですが。
実はカーニバル傘下の客船は、多数日本にも就航しています。例えばダイヤモンドプリンセスで有名なプリンセスクルーズや、コスタクルーズ、クイーンメリー2を擁するキュナードラインなどもそうですし、もちろんカーニバルも就航しています。
そう考えると日本の周辺でもやっている可能性は高いですよね。現在のアメリカ大統領が環境問題よりも金儲けが大事だと公言し、それに40%程度の人が同意するアメリカ社会。それに盲目的に追従している日本政府も支持率40%超えという現実。一部の人間の短期的利益が何よりも優先され、不正も公認される。自分にとっての損得が、環境問題、教育、貧困、正義よりも優先される。明らかに人類の知性は衰退しているのでしょう。
「地球は自分の子や孫から預かっているモノ」と思えば粗末には扱えないはずなんですけどね。
私はゴリゴリの不可知論的無神論者ですが、神道的なというか「八百万の神」の様な考え方は美しいと思っています。万物に神が宿っているので、感謝と畏怖の念を持って大切に接する。これってすこぶる健康的な心持ちだと思うのです。
一神教を信仰する人は40億人位。彼等の信仰する宗教の大元は、モーセの十戒。つまり元はモーセが神から与えられた10の戒めが書かれた石版だそうです。
- 主が唯一の神
- 偶像崇拝禁止
- 神の名をやたらに唱えるな
- 安息日を守れ
- 両親を敬え
- 殺人するなよ
- 姦淫するなよ
- 泥棒は駄目よ
- 嘘はあかんでー
- 金に汚くなるなよ！
最初の3つを除けば、至極当たり前の道徳心です。まぁそこが味噌で、7割のスッと受け入れられる事+自分の目的3割を1セットにする事で信じさせる、初歩的な騙しのテクニックです。特に1つ目の戒めなど顕著です。多神教のエジプトに対するアンチテーゼである事は明らかで、2つ目もそうですね。これは個人的な恨み辛みや思惑から出たモノと容易に推測されます。
ところがこの個人的思惑による嘘が、後の人類に暗い影を落とすわけです。ここから始まった伝言ゲームは、人を介す中で様々な人の思惑を取込み、分岐し変化し増殖していきました。キリスト教やイスラム教もそうですね。ここで問題が起きます。1つ目の戒めの整合性が取れなくなるのです。自分の信じる宗教を正当化する事=他の宗教を否定する事、という袋小路に迷い込むのです。
つまり1つ目の戒めが宗教戦争を生み、2つ目の戒めがバーミヤンやパルミラ遺跡を破壊させたのです。宗教は副産物として金と権力を生み、現在では各宗教自体が肥え太る事が目的化しています。1つの嘘が後の人類に、戦争や差別の材料を提供した典型的な例でしょう。
なんか話が明後日の方向に行ってしまいましたね(汗)。話を戻して今回の不法投棄ですが、一企業の利益が環境破壊より上に位置する価値観。それがこの資本主義という大きなウネリの中で、一定の理解を得てしまう事の恐ろしさを感じます。
以前ある元犯罪者が吠えてましたが、「金の不正で逮捕、勾留するな。金の問題なんだから罰金払えばいいだろ」と。正にこれが問題の本質だと思うのです（まぁ彼の場合ただの炎上商法ですが）。倫理観や道徳心はなく、「バレなきゃ良い、バレたら金で済ませろ」という思考。それを許容するシステム。
失われた環境のツケは、未来の人々が払うのです。しかも金では解決できないツケです。
不法投棄は上層部の指示でしょうが、アイヒマンの様な部下を量産する労働環境を改善するのは難しい気もします。ミルグラム実験に見るように、権力の集中は癌の様に周囲の人を毒していきます。最初は感じた不正の痛みを次第に感じなくなり、普通の人でも感覚が麻痺し非道で不合理な事を平気でするようになってしまうのです。
愚痴っぽくなってしまいましたが、クルーズはどんな世代の人にも楽しいですし、特に障害者やシニア世代には理想的な旅です。不正をしなくとも成立する様に、企業には努力をして欲しいです。行き過ぎた資本主義経済が、企業を不正へと誘うのでしょうが、不正と決別するだけの知恵が人類にはあると信じたいです。
